龍屋できらきら光るものを見た。
きらきらしているのは長毛に包まれた龍の姿で、すらりと長い薄緑の胴体の持ち主の彼は高位の風龍らしかった。
その彼を見、私はとりあえず聞いてみた。
「―――君、ドラテンに力をいれてないマスターでもいい?」
『どういう意味でしょう』
深緑色の目はこちらを見返し、とても冷静な声が返事を紡いだ。
幕間
それからまあ、色々って程じゃないけど言ったり聞いたりして。
風龍アヌの彼は私の隣を歩いている。
風龍アヌと名乗らなきゃわからないだろう少年の格好をとって、歩いている。
白いシャツに黒いズボン。飾り気のない恰好の彼があそこにいた龍だと分る証は、もふっとした耳と、薄緑の長い髪と、緑色の瞳あたり。あ。あとにょろりと長かった龍がひょろりと身長高くなったな。
……髪がばさーっとうっとうしいことを除くとすっげえ爽やかな美少年ですね。
なんていうかこう、なんていうかこう、色々とカオスなことになってきている我が家に勿体ない気がしなくも、ないけど。
もう契約は結んじゃったし、気にしたら負けた。うん。
ああ。そうだ。契約。契約を結んだんだから。
「名前をつけねば呼びやすく」
「…アヌは相当呼びやすい部類ではないでしょうか」
「えー。でもつけたいし。そうだなあ…
アヌ、だから、あー君かぬー君か…」
ぶつぶつ口に出してみる。
むう。しっくりこない。
ちなみに一緒に隣歩いてるメーがマジやめろ悲劇繰り返すなって顔してる。
…本当に往生際の悪いメー君である。こいつらも同じ泥沼に引きずり込もうぜ! とか言わないあたり、えらいのかもだけど…むう。なら。
「なんだか呼びづらいな。
ここは種族名方式で行こう」
「構いませんよ」
従順っぽい答えに私は頷き、彼を指さす。
「風…、ふう、ふう…そうだね、君は風矢。
風の矢ってなんか強そうじゃね?」
「それは同意できかねますけど。確かに私は強いですよ」
やっぱり従順っぽい、なんだかとても整った声に、ほんの少しだけ固い響きが混じる。
なんだか意地みたいなものを感じたなあ、なんて思ったりしたけど、特に何も言わない。
ただ。
アー君ヌー君は哀れだがこれで俺だけがネタ枠、とかぶつぶつ言っているメーはさすがに哀れになったので、軽く肩だけたたいておいた。
ああ。そういえば。これで召喚石が埋まったな。
じゃあしばらくはこのままかな。
しばらくは――――このままでいれたら、いいのになぁ。