企画名:支部でよく見るあれをよその子でやってみたくなったんや…再び(内輪ネタ) by青月七日

 朝町とかエデンとかイソレナさんちの赤いのとかよその子無差別でテロのように標的にするのは勿論TRPGよその子勢にまで手を出しまたなんかはじめた。
 好きなんだよ! この手のを考えるの! だから仕方ないだろう!

目次(カーソルオンで色々でる懐かしの仕様)

・リンク先()内にキャラをお借りした元記載
髪なら思慕 【アクライ】
額なら友情・祝福 【園美さんとあの子】
瞼なら憧憬 【あき君と緋音ちゃん】
耳なら誘惑 【朱ポコIF】
鼻梁なら愛玩 【アセフィア】
頬なら親愛 【進君と天音ちゃん】
唇なら愛情 【良乃ちゃんと涼太君】
喉なら欲求 【レンオル】
首筋なら執着 【侑里さんと璃奈子さん】
背中なら確認 【アクライIF】
胸なら所有 【かぜこま】
腕なら恋慕 【テルアプ】
手首なら欲望【兆夜さん】
手の甲なら敬愛【要さんと憧子さん】
掌なら懇願 【伊織君と友紀ちゃん】
指先なら賞賛 【貴久君と雫さん】
腹なら回帰 【和泉さんと滝沢さん】
腰なら束縛 【高垣夫婦】
腿なら支配 【シャフィカさんと神無月さん】
脛なら服従 【凪渉さん】
足の甲なら隷属【アセフィア】
爪先なら崇拝【大征君と意味奈さん】

腕なら恋慕 -テルアプ(真夜様)

 『まるでピタ〇ラスイッチだったな』それはスイッチのスタート地点になったトレジャーハンターの愛龍の呟きである。
 そう、まるで流れるようにその悲劇は始まった。
 真夜邸の商品を、かなたが物色し。彼女がくしゃみをした拍子に、その柄が店の壁に設えられた棚を下からたたき。その棚に乗っていたステラの欠片が宙を舞い、壁を伝い、宝珠を、ビンを、様々なものを、最終的には奥のキッチンの壁につるされていたお玉を弾き―――ボウルへと着地した。
 テルがケーキに使う生クリームを泡立てていた、ボウルの中へと。

「テル君、大丈夫?」
「はい、ただの生クリームですから」
 中々に大参事の店の方から聞こえる「ごめんなさい−!」という悲鳴を聞きながらも、テルは笑って頷く。
 目の前の彼の恋人は、そりゃあそうだけど、と眉を寄せた。
「でも、もったいなかったですね」
 せっかくもう少しで泡立て終わったのだけれども。
 彼と彼女の目の前には、プルプルと震えるプリン。この残劇から生き残り、つやつやぷるぷるし続けるプリン。彼が彼女のために丹精込めて作ったもの。生クリームはこのプリンを彩る予定であった。
 ―――けれど、こうなってしまってはしかたない。ボウルにはほとんど残っていないし、体中がベタベタだ。
 諦めて店の片づけに加わり、やり直そう。
 前向きにそう踵を返すテルの服の裾が、くい、と引かれる。振り向いた彼の視線の先には、どこかいたずらっぽい顔のアプクピ。
 どうかしましたか、と口に出すより早く。腕をつかまれる。
 そうしてそのまま腕が持ち上がり、彼女の口元へと。
 ペロリ、と舌が押し付けられる感覚に、彼はびくりと肩を揺らす。
「な、なんてね。
 ほら、もったいないし、びっくりするかなと思って…テル君?」
 びくりと肩を揺らして、そのまま硬直した恋人に、アプクピは慌てた口調で言う。
「怒った? 嫌だった?」
「いえ、そういうわけじゃないです」
「はしたなかった…?」
「いえ、…びっくりしたんです。びっくりしたんですよ」
 うつむいたまま言う彼に、彼女はなおも不安げにごめんね、と謝罪を繰り返す。
 ああ、本当に。毎日会うようになっても、なんでこう。
 可愛いし、慣れない。―――彼女の一挙一動に、心臓を握られている。
 愛しい痛みに少年は笑って、大丈夫ですよ、と顔を上げた。

 ふっと生クリームまみれのテル君をぺろっとするアプクピさんが浮かび。それを書きたくなったのはいいものの。そういう仲になった後のアプクピさんは見境はあるわけだから…!といかにしてテル君に生クリームまみれになってもらうか、15分くらい悩みました。自然な形は無理だと思った。だからこうなった。反省はしているがマスターだからどうでもいいと思っている。
 朝町勢ならだれでも行けるといえばいけるけど。なんかこう、腕をぺろっとしたりチューしたりが無性にアプクピさんにしてほしかったんだ…可愛いですよね、可愛い×可愛いだよね…最高だよね…!

手首なら欲望 -兆夜さん(ゆづき様)

 愉快な先輩や愛らしい猫や優しいカモ―――もとい依頼人などと関わり、一日の仕事を終える。
 時に笑い、時につっこみ、時に猫を捕縛し、度々様々なことを受け流し。兆夜の一日は終わっていく。
 つつがなく、問題なく、穏やかに。
 そのように一日を終えて、自宅に帰った彼は、パチリ、と電灯のスイッチを入れる。
 白々とした灯りの元、浮かび上がるのは、ほの白い肢体。
 いくつもいくつも、夜の数だけ増えていく、人工の人型。
 手前に―――最近製作したものは、美しい女が多い。
 笑うのを止めた青年は、自ら買い求め、縄で化粧を施した人形を眺める。
 後悔を抱えて眠る夜のぶんだけ増えていく、ある事件で関わった女をかたどった人形を。

 ―――別に、彼女が欲しかったというわけではない。
 助けたいと必死になるほど、自分は人情家でもないだろう。ただ―――助けたられたと、あの日思っただけで。
 自らの内心を覗きながら、彼は自然とうなだれる。
 縄で結わえた手首に向けて、顔を寄せる。
 彼の唇に触れのは、人形の手首を縛る固い縄。冷たく固く、変わらずにそこにある感触。―――他人の不確かな言葉などより、よほど信用のおける感覚。
 失いたくないならば、縛ってしまえばいい。そうしてしまえば、美しい。美しく、そこに。ここにある。
 これ以上美しく、信用のおけるものがこの世にあるはずもない。
 だというのに、なぜ、あの時。
「…らしくないことを言ったんだろうねぇ」
 裏切るな、などと。まるで、他人を信用したような言葉が漏れたのは、なぜだろう。
 なぜ、と考えれば、喉の奥からなにかがこみ上げる。後悔か、生理的な嫌悪か。それを考える必要とて、既にどこにもないというのに。
 それでもギリリと歯が鳴る。腹の底から酸い味が広がり、ぐっと眉を寄せさせる。
「……ハッ」
 こんな思いをするのも、あの日離した―――手を伸ばすこともしなかった所為だとしたら、やはり。
「なにもかも縛ってしまばいいんだよ」
 暗い呟きを聞くものは、人形以外いない。
 彼自身すら気づかぬまま漏れた、小さなつぶやきは。
 ほの白い人形に落ちて、静かに消えていく。

 兆夜さん後日談がこう闇重くて好きだったから、つい。
 …欲望はあんまり当てはまらないかね。と思わんでもなかったけど。
 「美形が人形の手首拘束してキスしている姿が実に性癖だから私は書きたい」という内なる私の欲望により。ここにつっこまれました。
 兆夜さんにも幸せになってほしいものです。…が彼のしあわせってなんですかね。5000兆円? たぶん違うね。難しそうな男ですね。好き。

手の甲なら敬愛 -あこかなちゃんIF(成瀬様・紀野様)

「要さん、そこで! そこでこの天才百鬼憧子のですね! 大活躍がはじまったわけですよ!」
「…そうなんだ」
 パタパタと手をふり、身振り手振りをまじえて先日の依頼とやらを語る探偵に、刑事は呆れ気味の相槌をうつ。
「信じてませんね、その反応は」
「いや。だから手が傷だらけなんだな、って納得していたんだ」
 しずかな指摘に、彼女はわずかに気まずげに視線を逸らす。だが、なおもパタパタと手を振って、言葉は続ける。
「こ、これは名誉の勲章です! 猫には傷一つつかずに救出したんですから!」
「…いや。それは確かに喜ばしいけど。怪我はなるべく避けようよ、君は」
「怪我ってほどじゃないですよ! かすり傷です!」
 胸をはって主張される通り、彼女の怪我は軽傷だ。猫にひっかかれただけだ、数日すれば治るだろう。
 得意げないいわけ、否、説明に様子に息をつき、彼は内心だけで続ける。
 怪我は怪我であり、気がかりなことは別のこと。すぐに他者のためにと無茶をする彼女の精神こそが気がかりだ。心配だ。目が離せない。いくつかの意味で。
 けれど―――
 そんな彼女だからこそ、尊いとも思っているのだろう。
「…百鬼さん」
「はい!」
 元気に返事をする彼女に、彼はそっと手を伸ばす。
 ぱたりぱたりと元気に動いていた手が、一回り大きい手の中へと収まる。
 唐突な行為に彼女はパチパチと瞬き、首をかしげ。その体勢のまま固まる。
 固まる彼女の手の甲は、今、彼の口元に。
 いくつかの切り傷をかすめるようにふれた唇に、やわらかな頬が真っ赤に染まる。
「ななな、ななな、な!?」
「いや、ほら……消毒?」
「しょ、しょしょ、しょしょしょしょしょ!?」
「……こういうことされたくなかったら次から気をつけるということで」
「…か、かか、かかか、かなかな、かな、かなかなかな、かなめ、さん」
「……」
「か……要さん。顔……赤いですよ」
「……そうだね」
 君よりは赤くないと思うけど。
 小さく添えられた言葉に、彼女はへにゃりと唇をまげた。

 少女漫画のお約束をやってほしい。
 付き合ってる時空のつもりで書いた。なぜか付き合っていないと聞いたのでIF時空といっておく。まあ二次創作ですしね。どうあがいてもIFだね。
 憧子と呼ばせるべきかしばらく迷った。…が。付き合い始めはそう呼ばれるだけでわたわたしそうという脳内補完から百鬼さん呼び。
 要さんにはひたすら気障ったらしくってほしいものです。あこかなちゃんは可愛い。

掌なら懇願 -いおゆき(ぼたん様)

 誰もいない。否。誰もかれもが眠る部屋に、一人の青年がいる。彼だけが起きて、思考し、眠る者たちを見つめている。
 彼の目線の先には、一人の女。彼の記憶にあるままに伸びた髪。彼の記憶にあるままの寝顔。彼の記憶にあるまま―――違う。見たのは、夢だ。夢の中だ。
 彼が最後に会った時より伸びた髪。彼が最後に会った頃より成長した面立ち。けれど彼の知るままの表情をのせる幼馴染は、静かに寝息を立てている。
 しあわせな夢を見るかのような顔で、眠り続けている。
 ―――本当、黙って寝ていれば可愛いのにな。
 つい先ほど思わず呟いた言葉を内心で繰り返し、彼はそっと息をつく。
 息をついてそのまま、横たわる彼女をそっと抱きあげる。
 そのように身体を動かされても、女は目覚めない。目覚めさせないことを、彼が選んだ。
『そんなことに使おうと思ったわけじゃないんでしょ!』
『なんでやる前からあきらめるの!』
『伊織頭いいんでしょ!? じゃあ頑張ればいいじゃない! 待ってるから!』
 彼の脳裏によみがえるのは、彼女の言葉。
 モニター越しに聞いた、彼女の訴え。
 けれども。
「…それは僕が嫌だよ」
 このままでは、この女は自分の知る彼女とは別のものになる。
 ―――僕の覚えているのと違う君になるのは、嫌だな。
 どうしよもなく嫌だから、共に。
 共に死んでくれないかという訴えに、彼女は随分と怒り、抗って、嫌がって、おそらくは涙ぐみ。
 それでも最後に、小さく笑った。
『しかたないなぁ、伊織は』
 ああ、確かに仕方ないし。
 怒られるのも当然の状況にしてしまったな、と。彼は思い、小さく笑う。自嘲の笑みが、くすりと漏れる。
 抱きあげた彼女をそっと自分の傍らに座らせて、その手をとる。
 今はまだ脈のある、これから自らの手で脈をたつ、その手。
 やわらかな掌を両手で抱え、額に押し当て、するすると口元に運ぶ。
 ゆるく口付けた箇所は、あまりに柔らかい。柔らかくて頼りなくて、こんな手でよく『頑張る』などといえるものだ。
 そういう女だと、彼はよく知っている。
 常にわけもなく前を向く、そんな女だった。ずっと。だからこそ。その前が、先がないのなら、いっそ。
「……愛してたよ、友紀」
 だからごめんね。一緒にきて。
 彼女の手と彼の唇の間で、小さな声が潰れる。
 それをむずがゆがるように、彼女の肩が小さく揺れた。
 まるで笑うかのようなそのしぐさに、涙にぬれた唇が少しだけ微笑んだ。

 ずっと一緒にいてほしいと彼女は願っていただろうから。彼も彼で『一緒にきて』と懇願してほしいものですね。なんとなく懇願が似合うよね、この二人。
 あと気障っぽい仕草に似合うよね、伊織君。王子様だったよ。伊織君。『伊織はねー。王子様の役ねー』とか本の朗読とか付き合わされていたかもしれませんね、幼少期に。

指先なら賞賛 -たかしず(ぼたん様)

 女は、夢を見た。
 なにもない、けれど波の音が聞こえる場所。夜明けのように薄暗い空間で、男が笑っていた。
 今はここにいない。この世にいない男が笑っている。
 穏やかに、穏やかに。幸福そうに笑って、彼女を見ている。
 ―――雫さん。
 男は嬉しそうに女の名前を呼ぶ。
 女は答えない。答える言葉を、必要を。彼女は持たなかった。あの時は。
 ―――ねえ、雫さん。
 それでも彼は彼女を呼ぶ。かつてと変わらず、いかにも慕わしいといいたげな、熱のこもった声色で。
 女はそれを好都合と思っていた。
 思っていたはずなのに、今、それを笑うことができない。何の感情も浮かばない。表情も変えることができない。
 ―――雫。
 男は笑う。表情を凍らせた愛しい女に向け、どこまでも穏やかに。幸福そうに。
 ―――貴女は今も、美しいですね。
 もう生きていない。どこにもいないはずの男は、彼女の手をとってくる。
 やうやうしく、西洋の物語で語られる王子様とやらのようなしぐさ。彼はそのまま膝をつき、そっとその指先へ唇を寄せる。
 ―――あなたほど尊いものは、俺の世界にはなかったので。だから俺は、幸せだったな。
 彼女が殺した男は、その最後の時と同じく、愛とやらを語ってくる。こんな、夢の中でまで。
 女の眉がじりりと寄る。彼女も意識せぬままに、厭わし気に。
 ―――あなたをしあわせにできなかったけど。…あなたが生きてくれていたなら、幸せだよ。
 きっとあなたは、自分で。きっといつか、幸せをみつけることができるから。
 きっとあなたは、望みを見つければ叶えることができるから。
 男は笑って、夢見るように笑って、薄暗い空間に溶けていく。
 消えていく男に、女は何も言わない。手も伸ばさない。唇の触れた指先を、ぼんやりと見つめる。
 そうして、夢が終わった。

 目をあけた女は、ふっと気づく。
 ああ、今日はあの日から一年だ。
「……律儀な人ですこと」
 もしくは、弱気というべきか。
「…忘れておりませんよ」
 枕元に置いた汽車の切符に、女は小さく微笑んだ。

 あなたは誰より尊い人。山門君はそう思っていました。そして他の人間は芋に見えていました。だから彼はとても幸せでしょう。
 彼の恋心は心酔とかそういうものでできていたので大事なことには気づけませんでしたというあれ。…だから最後は後悔もしたんじゃないですか。好きな人の苦悩に気づかなかったことに対して。だからああなったわけですしね!

腹なら回帰 -江崎さんと滝沢さんIF(すけ様)

 ふわり、吹いた風がカーテンを揺らし、半身を起こした男の髪も揺らす。半ば以上白いものの混じった髪を眺め、若い女が呟く。
「あなた、死ぬんですか」
「そりゃあ、人だからね」
「私は死なないんです。人ではありませんから」
「うん。すまない」
 曖昧な、それでいて申しわけなさげな声に、彼女は小さく息をつく。
 いつも浮かべる笑顔を消して、眉を下げて。
「…ひどい人ですね。私を江崎和泉と思っていないくせに」
「うん。それが、すまない」
「そのうえ、おいていく。…わかっていたことですが」
「ああ。そうだね」
「…おいていかれても。百年まったら。咲いてくれるんでしょうか、あなたは」
「ん? どういう意味?」
「…一年後に教えてあげます」
「それは……厳しいね」
 きっと僕は聞けないね。穏やかに笑った男が、ごほりとせき込む。そうしてそのまま、ベッドの上に倒れていった。
 老齢なのだから仕方ない、と女はそれを眺めている。
 人ではない女は、アンドロイドは彼を眺めている。
 かつて男が愛情の果てに殺した女と同じ記憶とかんばせを持つ、アンドロイドが。じっと。
「……ねえ。滝沢さん」
「…ん?」
「私、あなたのことを恨んでいません。ただ、いっそあなたから生まれたかった」
「…いや、だから。産めないよ」
「…ええ。知っていますよ」
 低く呟き、女は眠る男の腹へと顔をうずめる。
 私は、あなたの。あなたにとっての江崎和泉に値しないのならば―――あなたと私の子供にでもなってみたかった。
 彼の自死を止めたあの日から温めた願いを、口の中だけで呟く。
 くぐもった呟きは、遠くなった耳に届かない。
 ただ、うずくまる彼女の背を、彼は曖昧に撫ぜた。

 あの二人はあの先色んな形があるんだろうけれども。穏やかにすごせるとしたら、収まるのは義理親子なんだろうなあ。と思って。なにしろふられてるからね。殺したオリジナルのために死ぬ言われてるからね!
 とおいとおいいつかの未来。あるいはたくさんあるであろう一粒。彼女を2度は殺さなかった彼とのIF.
 きっと江崎さんは彼を失ったらたくさん泣くので。でも泣けなくて、泣く代わりに雨に打たれるので。100年は待てないでしょう。白い百合は咲かない。夏目漱石のあれです。

腰なら束縛 -高垣夫婦(羽堂様)

 目が覚めると、目の前に腰があった。きちんとズボンと下着をはいていないのか、微妙に見えていた。ベッド寝転ぶ私に対して、遊馬は半身を起こしているから、ちらちらちらちら視界にはいり、なんか鬱陶しい。
 やめなさいよみっともない、子供マネしたらどうするの。ぼんやりとそんな言葉が浮かぶ。浮かんで、ああ今は二人きりだっけ、と思う。
 所謂デート。やることはまあ、ズボン脱いだりすることだ。それだけではないけど。そういえば眠る寸前までそういうことしていたっけ、というあれ。
 そんなことを、しみじみと思いだす。思いだすと、なんとなく手が伸びて。なんとなく、身体をのりだし。なんとなく噛みついてた。
「えーと…ごめんなさい?」
「なんで謝るのよ。やましいことでもあるの?」
「怒ってるわけでもないのに腰にかみつかれるの? 俺…!」
「いえ。何かを思ったわけじゃないのよ。ただ、目についたから。つい?」
「つい」
 ついって。ついって。ぶつぶつ繰り返しながらも、彼も隣に寝転んできた。
 そうして、ぎゅうっと抱き付かれる。
「痛いわ」
「ついでまた噛まれたら痛いからさ、くっついておこうかと思って!」
「馬鹿ね。そんなにがじがじ噛まないわよ」
「じゃあさっきのなんだったの」
 ふにゃりと眉を下げながらも、口と目が笑っている。
 なんというか、よく笑う男だと思う。昔から、ずっと。
 割と十人並みな顔が中々に見えるなぁ、とも。昔から思う。
 見えるのだけれども、なんだろう。素直に口にすることができない。
 …素直に口にださずとも。この笑顔はそのくらい察しているだろうと、そんな風にも思う。
「…別に。なんでしょうね。…マーキング?」
「そうなの?」
「にやにやしない」
「え、奥さんのヤキモチは嬉しいものだよな!」
「ばっかじゃないの」
 冷たくなるように気を付けて言ってみた。それでも夫の笑顔は曇らない。
 それはそれは嬉しそうに笑って、ぎゅうと抱き付いてくる力はやっぱり痛い。
 けれどもまあ、悪くない。
 少なくとも、胸は痛まない。ただ、胸は締め付けられる。
 いうことはできないけれど、恋とかそういうので。
「…ほんと、馬鹿ね」
 あなたも私も、馬鹿ね。恋なんてすると、もう。

意味合いで小梅さんにしようと思ったはいいもののなんか身長さ的に考えるの面倒になったことがうかがえる導入である。いや。こう。なんというか。こうでこしないと全裸だったんだ。全裸回避大変だったんだ。仕方ない。
小梅さんは独占欲が大層強いので末永く可愛がってあげてください。浮気しなきゃ(本気では)蹴らないよ!めっちゃ愛してるしね!

腿なら支配 -シャフィカさんと神無月さん(レヴ様とゆーな様)

 暗い寝室に、つかんだ足のしなやかさが妙に気になった。
 気になる。―――胸が躍る――――胸が騒ぐ。
 どう形容しても相応しい気もする。
 どう形容しても足りない気がする。
 ただ、確かなことは触れた肌が心地よいということと、行為を止めたこちらを見る目が不思議そうだということだ。
 ―――せめて物欲しげならなあ。
 こんな時までそんな純粋な眼で見られるから、報われない。
 自らの執着を口にする代わりに、しなやかな足に唇を寄せる。
 筋肉の詰まった、美しい獣のような足に。
 例えばここをかみちぎってしまえば、この女はもうどこにもいかないのだろうか。
 あるいは、腕を使ってでも出ていくのだろうか。
 よぎる思想に、男は笑う。嘲笑う。

 答えなど、遠の昔に悟っている、と。
 

 神無月さん本当最悪だし月のない夜に気を付けろと思うけどあの性格と行動で全然ふりむいてくれなそうな人を愛してるの笑うもとい萌えますね。脅しても愛しても同じものしか帰ってこなそうなあたり最高だよね。
 っていうかシャフィカさんめっちゃ純粋の極みでちょっと怖いよね。とても好きですが。

脛なら服従 -凪渉(成瀬様と紀野様)

 ―――こんな夢を見た。
 白い足に、赤い血が伝う夢。
 夢だとすぐに分かるのは、おかしなことに巻き込まれすぎたから―――ではない。
 渉、と名を呼ばれる。
 それだけで胸がつまる感覚は現実と同じ。
 けれど、違う。ありえない。こんな光景は、現実にはあり得ない。あり得てはいけない。
 渉、と彼女が名を呼ぶ。
 白い手でスカートをまくり、足を、その上を見せつけて。
 身体の中心、女の証から血を流して。いつか子を孕むための血を垂らして。
 白い脚に、一筋の鮮血が流れていく。
 渉、と名を呼ばれる。
 その声が命じるのは、服従だ。服従で、それ以外ではあってはいけないと決めている。
 だから。
 夢の中の己は膝をつき、脚を伝う赤を拭う。脛のあたりをかき抱いて、いつの間にか持っていた布で拭って。
 そうして赤く染まった布は、少しだけ口元に寄せる。
 くすり、と笑う声は、誰のものか。
 彼女か、己か。もしくはいっそ、彼女の兄か。
 分りはしないが、ただ。ただ。
 口に触れた赤は、ひどく甘く香った。

 服従は凪渉さんで書きたいし書きたい光景も浮かんでいるけどこれは夢だな、うん夢だ。みたいな。解釈違いだったらすみません。でも書きたかった。せーりの血ぃ舐める渉さんを…!(あとがきではぼかさないスタイル)

足の甲なら隷属 -アセフィア(紫堂様)

 ベッドに腰かけたフィアナはじりと眉を寄せる。なんともいえない表情に。
「アセルト?」
「うん」
「なにしてるの?」
「指圧?」
「指圧…」
「妊婦の体調にいいツボを聞いて」
「そう。…ありがとう」
 こそばゆくて、特に気持ちが良かったり楽になったりはしない。
 という本音を彼女はそっと呑み込んだ。
 様々なことを器用にこなす夫の指が、本を見つつ、探るように思考錯誤を繰り返すのは新鮮だ。なによりも、思いやりによってなされた行為をとめるのは気が引ける。
「フィアナ、足小さいよね」
「普通だと思うが」
「僕よりは小さい。…こんな足でここまで歩いてきたんだなと思ってね」
 こんな足呼ばわりはどうなのだろう。口に出しかけた言葉を、彼女はやはり呑み込んだ。今度は気遣いゆえではなく、言いきると共にキスを落とされた驚きで。
「アセルト!?」
「フィアナは全部可愛いね。やっぱり」
 甘ったるい声と共に、やうやうしい口付けは再び足の甲へ。
 こそばゆい感覚に彼女はそっと息をつき、馬鹿、と呟いた。

愛の奴隷と奥様のお話。かぜこまと迷ったけどよりいちゃいちゃしている方にしました。書いといてなんですがアセルトさん指圧その気になればすぐにマスターできそうだし、別に素敵な神様にそんなん必要なのか謎。現パロなのかもしれない。

爪先なら崇拝 -意味奈さんと大征君(自探索者とイッヒ様)

 男はじっと女を見る。
 暗く灯りを落とした部屋に横たわる女を。
 先日首尾よく―――といっていいものか甚だ疑問な経緯で同居に持ち込んだ彼の想い人。
 それがすやすやと寝息を立てる様を見ると、彼はどうにも落ち着かない。胸がときめく。
 同時に、ひどい空しさもある。
 今明らかに正気ではない女に思いを告げてなんになるのか。―――元々正気が怪しい女だったが。それはそれだ。
 いや、それ以前に。
 人など欲しがってどうなるんだ。
 己の望む形で人は手に入らない。きっと。手に入らない。
 狂った男は怜悧な頭で己を嗤う。
 自分だけを見るこの女が欲しい。不幸にまみれているからではなく、幸福になった上で。そのすべてに背を向けて選んでほしい。
 そうして、自分以外を見ないでほしい。
 彼女にそう願いつつも、そんなこと、己にはできない。
 ―――幸運を感じられない自分にはできないのだ。

 そしてどうやら、彼女も『幸福』や『不幸』を人並に享受はできない性質と見える。
 だから、きっと叶わない。叶わないけれども……それでも。
 諸々の感情で眉を寄せて、彼はそっと彼女の脇に腰を下ろす。
 布団に包まれた身体をなぞって、そっとその足を持ち上げる。
 少し迷い、幽鬼のように白いつま先に唇を寄せる。
 狂気の淵で彼女は彼に救世主なりましょうと提案した。彼は喜んで頷いた。惚れた相手が巫女として傅いてくれるのなら、男性の5割は頷くだろう、と思っている。
 けれど、笑ってしまう。
 あきらかにおかしな状況だし、なによりも。
「……人を救うのはあなたの方がお似合いですよ」
 少なくとも、自分は。
 この女が笑うと、それがどんなに狂った意図であれ、胸が騒ぐのだから。

自分がこんなに好きなんだからいつか同じところにきてくれるといいなあ(夢想)な大征君の話。絵的に似合うな。つま先。してもらっても喜ぶだろうけどな。つま先。って。



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