朝町とかエデンとかイソレナさんちの赤いのとかよその子無差別でテロのように標的にするのは勿論TRPGよその子勢にまで手を出しまたなんかはじめた。
好きなんだよ! この手のを考えるの! だから仕方ないだろう!
目次(カーソルオンで色々でる懐かしの仕様) |
・リンク先()内にキャラをお借りした元記載 |
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髪なら思慕 【アクライ】 額なら友情・祝福 【園美さんとあの子】 瞼なら憧憬 【あき君と緋音ちゃん】 耳なら誘惑 【朱ポコIF】 鼻梁なら愛玩 【アセフィア】 頬なら親愛 【進君と天音ちゃん】 唇なら愛情 【良乃ちゃんと涼太君】 喉なら欲求 【レンオル】 首筋なら執着 【侑里さんと璃奈子さん】 背中なら確認 【アクライIF】 胸なら所有 【かぜこま】 |
腕なら恋慕 【テルアプ】 手首なら欲望【兆夜さん】 手の甲なら敬愛【要さんと憧子さん】 掌なら懇願 【伊織君と友紀ちゃん】 指先なら賞賛 【貴久君と雫さん】 腹なら回帰 【和泉さんと滝沢さん】 腰なら束縛 【高垣夫婦】 腿なら支配 【シャフィカさんと神無月さん】 脛なら服従 【凪渉さん】 足の甲なら隷属【アセフィア】 爪先なら崇拝【大征君と意味奈さん】 |
教科書を押しつぶした腕に頬を預け、眠る少女。その長い髪が、夕日を受けて輝く。彼女の呼吸に合わせて、美しい黄金色も揺れる。
少年はその様に目を細め、つぶされたノートに少しだけ眉も顰め、静かに息をつく。
蒼い瞳の先で、ふわりふわりと金糸が揺れる。触れれば逃げる、柔らかな髪。触れれば心地よい、されど温度のない部分。ぐしゃぐしゃとかき回していても、いくつかの文句の後に元に戻ってしまう部分。
触れ慣れた長い髪の一房に、今日も彼は手を伸ばす。
眠る彼女が気づかぬように、あるいは気づいたところで構わぬままに。静かに目を閉じた彼は、ほの甘く香る髪へと唇を落とした。
意味合い的に案外似合うんじゃないかなというか、絵的にみたいな、と思ったというか。…まあ私アクライならなんなら22種類いけるんじゃないかな、とも思うんですがね?IF周辺まで伸ばしたらたぶん余裕。
なんとなくこのライアナさん起きてそうだよな。と書きながら思ってました。
美しく、かわいらしい壁紙で飾られた部屋に、少女がいる。華奢な体をかすかに揺らし、所在なさげに瞳も揺らす、美しい少女だ。
ふわふわとしたベッドに腰を下ろして、彼女は己の前で膝を折る女性を見つめる。
「よかった。サイズ、あっているみたいね」
「…はい」
「似合っているわ。…いつまでもエリカのものというわけにもいかないものね」
わずかに睫毛を伏せて、しかし穏やかに言う女性に、少女はぎゅっと眉を寄せる。
「私は、それでも」
「よくないわ」
穏やかな口調で悲し気な言葉を遮り、女が笑う。
あの冬の日、亡くした面影に心を痛めながらも。それでも、明るさを感じさせる声で。
「私はね。あなたに幸せになってほしいんだもの」
代わりじゃないわ。代わりなどいないわ。エリカにも。蓮にも。あなたにも。
歌うように告げて、女は少女を抱きしめる。
ぎこちなく身を固くする少女を温めるようにそうして、笑みの形のまま震える唇で、僅かに彼女の額へと触れた。
園美さんこんなことしなそう。日本人だし。と思う反面。「意味合い的にマダムでやりてぇんだよ!もう他に思い浮かばぬレベルだよ! あでも小さな親友でもいいなあしかしあれはしてたしね!」という情熱に従った。反省は、している。
朝町ーずのトラウマである彼女には幸せになってほしいし御曹司とはせめてインセインで再会したいですね!
学生服のままの少年は、己の部屋の片隅で静かに寝息を立てる少女を見つめる。テスト勉強開けだとかで、なにやら随分と疲れていた幼馴染。
あまりに顔色が悪いから、彼女の家より近い己の家で休んでいった方がいいんじゃないかと、そんな風に言ったのは自分である。そんな風に言ったのは自分だが。
「…わかんないんだけどね。本当は」
体調が悪そうなら、休息を勧めるべき。そのことはわかっても、本来なら付随する感情が分からない。例えば目の前の少女が心配だとか、あるいは努力に感心するとか、そういった心が。彼には分からない。
「……緋音は」
ぽつり、と名を呼び、続ける言葉も分からない。ただ、静かに閉じられた瞼が綺麗だとは思う。
テレビ画面の女優も雑誌の紙面のアイドルも美しいとは思えない。彼女の作りだすものも、彼女が好く芸術も綺麗だとは思えない。
なにもかもが曖昧な少年の視界に、ただ、目の前の少女のことは綺麗に映る。ほの白くまばゆい。心が動く。互いに年頃に差しかかったこの時期になっても、ゆるく上下する胸にも、すらりと伸び始めた脚にもなにも感じない種類の好意ではあったものの。
無防備に閉じられた瞼を唇でなぞって、彼は小さく笑う。
―――君と同じ世界を見れたら、俺は君に好きだとでも言えたのかな。
穏やかな微笑を裏切る暗い瞳が、細い首を静かに見つめた。
「緋音は可愛そうだね」とかいう7年前くらい。セッション時に比べればきれいな相蘇君。
あき君が本格的に異常拗らせたのは思春期に緋音ちゃんにトキメけない自分に気づいた時どいうどうでもいい後付け設定。いや、愛情とか狂信とか引いていればわかりやすかったけど…共感だし…あとロールねる時間が1週間あったのがいけなかったね、みたいな…。ということで「緋音ちゃんお見る世界を見てみたい気もする」歪んだ共感持ちでした。
ベッドの上に、明るい色の髪が流れる。橙色の、彼女の名前のような。仰向けに寝そべる少女の顔から眼をそらし、青年は少しだけ息をつく。無意識に止めていた息を吐く。
「……いいのか」
「ここまで来てそんなこと言われましてもねぇ」
楽しそうというか、愉快そうというか。自分に覆いかぶさる青年を揶揄するような声で、少女が笑う。
けれど、楽し「そう」で愉快「そう」で揶揄する「よう」な声色に彼はわずかに唇を曲げる。握った手のわずかに震えが気がかりゆえに。
「…君なぁ」
気づいてしまった虚勢に対し、彼は何かを言おうと言葉を探す。積み上げた想いと年月の中から、必死に探そうとして、そうして。「ちょっと」という声に遮られる。
「ちょっと、もうちょっとかがんでくれません?」
主の言葉に、従者は静かに従う。これまでの習慣でごくごく自然にそうして、その体制のままびしりと固まる。
「……先ほどのが気に入らないならこちらが返答ということで」
青年のとがった耳を食んだまま、照れを隠さぬ早口で。
小さく告げられた許容に、固まった彼は、僅かに笑った。
だがIFだ慈悲はない。冬切さんがくっつけてくれるまで生殺しされる、その姿が好きだなあはははははは!(悪役笑い)
あの耳って噛んでみたくなるような耳だよなとうん年前から思っていました。あと実際ちゃんと両想いになったらこの手のことでこじれなそうだな朱ポコ。こうなる前に色々もめるだろうし。ポコスさんドヤ顔してそう。そんな意味でもIFです。
それは、ある人間の町にて。赤い髪を背中に流した女性が膝を折り、己の足もとに目を落とす。穏やかな、ある種の甘さのにじんだ顔で、足もとをじっと見て、そうして。
「にゃーにゃー」
猫の鳴き声をまねる彼女に、うみゃあ、と小さな声が返る。
その小さな声に、フィアナはますます頬が緩む。
様々な理由から迷い込んだ町で巡り合った、小さな命。親や兄弟とははぐれたか、はたまた帰りを待っているのか。理由は知れぬものの、一匹でぷるぷると震え、こうして声をかければ差し出した指に懐いてくるその姿は、愛らしい。とてもかわいい。
「…にゃー」
それでも、連れていくわけにはいかない。―――ここは彼女の世界ではないとか、この子のことを探すものがいるかもとか、そういった理由ではなく。
抱え上げた猫をじっと見つめて、彼女は小さく息をつく。猫のまん丸な黒い目が、じっと彼女を見てくる。
「…こればかりは、仕方ないんだよな」
猫と鼻先を合わせて、再びため息。
猫嫌いな夫は、今頃自分を探しに出てきていることだろう。
今の己の帰る場所が、結局は彼のところである以上。こればかりは、仕方ない。
「こんなにかわいいのにね」
性質が違うから、喧嘩になるのかな。
呟きながら、異世界の女神は小さく笑う。
この光景を見ればさぞや騒ぐだろう夫の姿が浮かび、ほんの少しだけ笑った。
なんか愛玩的な意味でアセルトさんからフィアナさんにしようかと思ったけどなんか電波がきてこうなった。
猫御殿作ってもいいようなのものなのに猫嫌いすぎて無理というエピソードを思い出す度、「アセルトさんにもフィアナさんにも譲れない一線が(シリアス以外で)ちゃんとあったんだね」って笑う。
がやがや、きゃいきゃい、小さな子供の騒ぐ音が響く。とある幼稚園の一室で、三人の子供が見を寄せ合っていた。
一人は、壁にもたれたまますやすやと寝息を立てる少女。膝に絵本を広げたままの彼女に、その傍らの少女は「もー」と呟く。だらしがないとでも言いたげな少女の隣には、さらにもう一人。幼い顔の大部分を包帯で包んだ少年は、眠る少女が開きっぱなしの本を手に取り、パタンと閉じる。使ったものはしまいましょうといわんばかりの態度で。
「しんはマジメねぇ」
「そうかなぁ?」
首を傾げる少年に、少女は大きく頷く。結い上げた彼女の髪も、ぴょんと跳ねる。
その様がなんとなく愉快で、彼は小さく笑う。聞き逃しそうに小さなその響きは、彼女の表情を変えさせる。
「なんで笑うのよ?」
「おれわらってた?」
「うん」
「そっか」
「そっかじゃないわよ」
「そうなのかー?」
「なのかー、じゃないわよ。もー。しんもえみりもぬけてるわね」
「んー? ごめんな?」
「あやまることじゃないけど。もー」
のんびりと謝る少年に、少女はもー、と繰り返す。それでも、不満げにとがっていた唇は、やがて笑いの形に変わる。
お互いくすくすと笑いあって―――少女は、「あ」っと声を上げる。
「しん、ほっぺ」
「うん?」
「ほっぺ、さっきのおやつがついてる」
「ん? どっち?」
「こっち」
言葉と共に、少女が身を乗り出す。小さな舌がチロリと伸びて、少年の頬に触れる。
包帯越しとはいえくすぐったいその感触に、彼は小さく肩をすくめた。
「教えてくれるんじゃないんだ?」
「こっちの方がかんたんだもん」
「そっかぁ」
「そーよ」
わずかに胸を張って言い放つ少女に、少年は再度そっかと呟き、しみじみと頷く。
―――触れられた場所にほんの少しともった熱の意味を彼が知るのは、もう少し未来のお話。
幼馴染の幼少期って夢いっぱいですよ。軽率に結婚の約束してほしい。どこかしらにちゅーもしてほしい。意味など分からぬままになあ! あの子ちゃんとした幼少期あったのかな、とちょっと不安になったけど萌えにしたがった
映画館の大スクリーン。写し出された女優と男優に、青年は気まずく目をそらす。けれど目をそらしたその先には、さらに気まずい思いを感じる存在。迷った彼は天井を眺め、小さくため息。
―――こんな内容なら、恋愛映画はまずかった。
ポスターから受けるイメージ以上に過激なラブシーンから逃れるべく、涼太はひたすら天井を見つめる。
見つめていると、首が痛くなってくる。
痛くなってくると、前に戻る。前に戻れば、視界の端に女性がうつる。
つい先日、告白の結果「おつきあい」が始まった女性。昔から知っている、けれど今は見覚えのない表情を見せる女性。
己とは違い、スクリーンの中のラブシーンから目をそらすことはない恋人に、彼の中の気まずさは大きくなる。
暗い映画館で、不思議とはっきりと見えるその顔は、僅かに頬が赤い。ラブシーンが始まる前から、今日はわずかに赤かった。その意味が分からないわけではなく、だからこそ彼は気まずい。
ほんの少し前なら、なんの緊張もなく見れたのだろう。この手の映画も。ラブシーンも。そういう気やすい仲だった。
けれど今。妙に真剣な顔でラブシーンを見つめる彼女に、彼は緊張する。
期待されているのだろうか。あるいは、期待してもいいのだろうか。などと。様々な考えが脳裏をよぎり、目が彼女の顔に吸い込まれる。正確には、彼女の唇あたり。化粧でもされているのか、つやつやと光る、柔らかそうな部分のあたり。
自然と目線がそちらに吸い込まれ―――ハッと我に返る。
我に帰った涼太は、映画そっちのけでぶんぶんと首をふりはじめる。いや確かに。問題はないだろうけれども。こんな人目があるところで、それは。
その愉快な苦悩の様子に、傍らの女性は、良乃は小さくため息をつく。
―――わかりやすいな、本当に。
このくらいでそんな反応されたら、これからどうすればいいのよ、と。
彼とは違う理由で苦悩する彼女は、すました顔で映画を見続ける。
そうしないと、幸せで笑ってしまいそうな頬を引き締めて。彼女は映画と恋人の姿を楽しんだ。
キスしてないけど。キスする何秒か前的なね。そういうのをね。この二人で書きたかったんだよ! くっそ性癖でした! ありがとうありがとうありがとう。二人とも可愛かった!
寝台に横たわる女の僅かに開いた襟から、白い喉がのぞく。暗い部屋でほの明るく映るそこに、青年が顔を寄せる。
彼の唇の下、脆い部分はぴくりと動き、彼女の生を伝えてくる。
「…くすぐったい」
「……」
咎めるわけでも、照れるわけでもない彼女に、彼は何の言葉も返さない。
いつものことであり、問題のないことだ。二人の間では、少なくとも。
―――本当ならば。
こういった時、気の利いたセリフが浮かぶ男であれば、もう少し彼女の力になれただろうか。あるいは、言葉一つくらいで変わらぬ困難に挑む女なのだから。今の自分でよかったのだろうか。
ちらりと浮かんだ疑問に、彼はそっと目を閉じる。
再度唇で触れた喉は、やはりぴくりと動く。彼女の呼吸を伝えてくる。
少なくとも、それでよい。傍にいて、生きていて。どこまでもそうしていけるなら、それでよい。
脳裏によぎるたくさんの欲求が、最後にそうしてまざりあい。黙して語らぬ青年の喉に、うっすらと積もっていった。
なんとなく欲求で浮かんだのがレンさんだったから書いてみた。噛み癖のある犬ってなんだか萌える響きだなあと思ったけど噛み後は残さなそうだなあありとあらゆる箇所に。というか噛み後つかなそう。とかも考えてた。
ある日のこと。三波侑里の恋人は、部屋を訪ねた途端、妙に真剣な表情と共にある願いを口にした。
「侑里。かがんで」
「うん?」
断る理由もないので、軽く膝を折る。そうしてすぐ、「なぜ」と訪ねる予定が、遮られた。首筋に走った鋭い痛みに遮られた。
「…痛いんだけど」
「…うん。そうだね。ごめん」
彼が膝を追ったとたんガブリとかみついてきたらしい璃奈子といえば、特に悪びれた様子はない。
悪びれてはいないものの、何か言いたげな顔はして、彼の隣に腰を落とす。
だから彼もそこに座って尋ねる。僅かに触れた首筋に、随分くっきりと残った歯型にわずかに眉を寄せたものの。悪魔で静かに、穏やかに尋ねた。
「いきなり、なに?」
「…たまには、こう。恋人らしいことをするべきかと。試してみたの」
「そうだったんだ…? いやでも…かじるのはなにか違うだろ」
「うん。でも、何分慣れないものだから。加減って難しいね」
言ってうつむくその顔は、確かに物慣れないさまであるし、珍しい照れがある。
宥めるために肩をたたけば、少し不機嫌そうな顔が彼の方へと向く。
―――笑うわけでも怒るわけでもなくそうしていると、似ている。
「別に無理しなくてもいいと思うけどね。こういうことは」
浮かんだ言葉と違う言葉を唇に乗せて、侑里は笑う。優し気に。
すると璃菜子の唇が拗ねたようにとがり、彼の面影が消える。
「そうだけど。…でも。たまにはそれっぽいことしないと。侑里どこか行きそう」
「え、どうしてそうなるの?」
「なんとなく。…野生のカン?」
「そこは女のカンじゃないんだ」
「じゃあ女のカン」
素直に繰り返すその姿は、確かに女のカンより野生のカンの方が似合うのかもしれない。
そんなことを思い、彼はそっと口を開く。
「瑠奈子、少し目を閉じて?」
「……?」
唐突な言葉に、彼女はわずかに怪訝そうな顔をした。
それでも、なにかを聞くわけでもなく、疑うこともなく。黙って目を閉じる恋人に、彼は静かに笑う。
いったいなににどういった影響を受けたのかは知らないけれど、よりにもよって、と。
彼の脳裏をよぎるのは、以前彼女の兄の読んでいた本の内容。親友の興味なさげな目の先にあった、キスの格言なる言葉。キスをするその場所が、首筋なら―――確か意味合いは。恐らく、自分が彼女と彼に抱いている感情のほうが近い。
夏らしく開いた襟からのぞく首筋を、唇で強く吸い上げる。びくりと跳ねた肩に、離れればかすかに残った赤に、彼はまた小さく笑った。
セッション冬らしいからその前くらいのイメージで。意味あい優先。この二人実際どのくらいの仲だったんだろ。健全に恋人っぽいことこなせてたんだろうか。そもそもあんま二人っきりでいなそう。いやまあ、たまには二人きりもあっただろ、としみじみとした気持ちでした。しかしツンデレ予定がただの面倒くせぇアホでしたね…
傍らに横たわる背中を見ながら、少女は己の髪を整える。乱れにもつれた巻き毛は、少々の時間と相応の手間を以て、元の形へと戻っていく。 彼女はそのまま寝台を出ようとし、何かを思いついたように手を伸ばす。
「…なに?」
「いえ。別に。なんでもありませんよ」
振り返り彼女を見る彼は、困ったような、疲れたような、そんな顔をしている。
それならばやめればいいのに、と彼女は言わない。
―――まだ。なにもないままなのね。
真っ白い背中に浮かんだ言葉もまた、口に出さぬまま、少女はそっと夫の背中へ顔を寄せる。
滑らかな皮膚へわずかにふれた唇は、もの言いたげな形のまま。今宵もなんの疑問も伝えなかった。
これはまだ自分だけのものらしいみたいな。そんなお面夫婦がふ、と浮かぶとともに、いつか仮面もちゃんと書きたいなあ。と思う。
どうせお面になるから諦めろ!とも思う。ふふ。
朝起きると、頬に心地よい感触があった。
なんとなしにさらに顔を寄せかけ、気づく。枕ではない、明らかに。
嫌な予感を抱えて顔を上げる。赤い顔した小町さんがいた。
もしかしなくても胸かあれ。
とりあえず正座して、そっと頭を下げる。
「……やましい気持ちはありませんでした」
「恥ずかしかっただけで責める気持ちがあるわけではありませんのでそう頭を下げずともよろしいですよ」
照れてうつむく小町さんも可愛い。…いやそうではなく。
「……痛くありませんでしたか?」
「多少は痛みもありましたが。龍ですので」
「……でも困ったりはしたでしょ。そういう顔してました」
言葉を変えれば、彼女は首を傾げる。曖昧な感じに。
…ああ。そういう仕草も大変可愛くはあるけれども。…なんだかなぁ。
「嫌なこととかあったらちゃんと言ってくださいよ」
「しかし」
「君に気を遣われるとへこむんです、僕が」
「そのようなことを言われても嫌ではありませんでしたので」
………。
目が見れないので思いっきり壁に頭を打ち付けてみた。
「風矢さん。額は無事ですか」
「…無事ですよ。中身は手遅れですが」
「頭蓋骨が…?」
「いえ、もう一個内側。脳じゃないですかね」
「それは大変です」
「ええまったく大変です。…いや本当。小町さんがなにしても愛らしくてとても大変ですね」
心配そうな顔が、ぽんと赤く染まる。
ああまったく、本当に、可愛くて困る。
別に彼女の行動を制限なんてしたくないけど。自分だけのものにしたいとは…思わないようにしてるけれど。
こういうのは僕だけが見てればいいなあ、と心底思う程度には。
勿論起きるまでキスもしてたんじゃないっすか。かぜこまだもの(便利な言葉)
どちらかといえば所有されている気がしなくもないですがね。骨抜き的な意味で。そして所有したいタイプでもあるんでしょうがね。本来は。
でもたくさんの中から自分選んでほしいとも思っているし。面倒くさい奴ですね。嫁馬鹿の分際で。そんないちゃいちゃしてるだけのかぜこまでした。