5.首
認めるのには非常に抵抗のある事実だけれども。
彼女と僕がやりあったら、たぶんではなく、彼女の方が強いだろう。
最近めっきり本業をこなしていないといえど、それはやや胸に来る事実だ。…いや、はっきり言えば、すごく情けない。
風龍のプライドで、素早さやらなにやらが劣っているとは思わないが。…技の数がな。力があっても、当たらなきゃ意味もないしな。
それではくとも、リュコドルアーガという種は強いのだ。
力いっぱい抱きしめれば折れそうな身体に見えても、頑丈だ。
どのくらいで折れるかとか全然試したくないし知りたくもないから、どのくらいまで耐えられるかはしらないけれど。
そんなことを知らなくとも、たまに思う。
自分より強いモノをこうして押し倒すのは、あるいは快感というやつに繋がっているのかもしれない、なんて。
そんな小難しいことを、考えてみても。いざ腕の中にいる彼女に浮かぶ想いの大半は「可愛い」だ。
近くでみると睫毛長いな。とか。肌白い龍だ、とか。
それなのに赤くなんてなっちゃうからなんかもう凶悪に可愛い。狙っているのか。狙っているなら―――かわせたかもしれないけどな。
かわせずに色々落ちてしまった身としては、素直に触れてみる。
白い首に口をつけると、とくとくと脈打つものを感じる。彼女は僕より強い。強いけれど、例えば。例えば今力いっぱい牙を立てれば、無事では済まない。そりゃあ今の僕は牙が抜けたとでも言えそうなふ抜けっぷりだと思うが。そんなのあくまで比喩なんだし。触れ合う肌のどこかしらに傷をつけようと思えば、たぶん、難しいことではない。
これ以上なく弱いところをさらされているのだと、胸が動くのは、そんな時。
傷つける気になれば容易なのは、彼女も同じだけれども。
そんなことを心配したことはなくて、同じでいてくれたら、と思う。
だって、どうしても思ってしまう。
必要など、どこにもなくても。
ねえ小町さん。僕は、君を。
守れる龍でありたいです。
言葉にしきれぬ思いを込めて、力いっぱい抱きしめてみた。
それくらいで壊れない身体は、そっと腕を伸ばして答えてくれた。
(とっくの昔に折れたんでしょうね)