プロローグ
例えば、国が一夜で跡かともなく消え去ろうと、馬に突然羽が生えようと、『不思議な出来事』であり『有りえない出来事』ではない。
ここは、そんな世界である。
―――そんな世界の中でも、さらに『特殊』な街。
『世界共通危険地帯04』
その一角のビル風の建物の中に、彼等はいた。
「慶?」
「あァ? 希羅も呼ばれたのか?」
「まぁね。……なんかまた変なことに捲き込まれるような気がしてきたわね」
「同感」
この二人そろってろくなことがあったことはない。
「騒動の元凶は反省しないしね……」
「オレ、あいつが反省するよーなことあったら撮っておきてぇ……」
かなり恨みがましい目でそう呟く。
「確かに永久保存版ね。すごくめでたいわ。思わず赤飯炊くわよ」
この一連の会話だけでも、二人を呼び出した人物の日頃の行いの悪さが現われている。
「ま。今更だけどなァ……」
冷めたような悟ったような調子で言う。
「そうね。じゃ、入りましょ」
少女がそう誘うと少年は首を縦に振ることで意志を伝える。
―――ここは、世界の東に位置する半人工島。
様々な名を持つ町。
そこで、物語がはじまる